事業部制の場合、各事業部の自律を活かしつつガバナンスも構築する必要があります。そのような全社DX推進組織の課題にはポートフォリオ・マネジメントが解決の手助けになります。
全社でDX等改革を推進する組織の存在意義
事業部制を敷いていると、全社でDX等改革を推進する組織(TMO: トランスフォーメーション・マネジメント・オフィス)は存在意義に悩むことがあります。
事業部ごとにDXを推進する組織を作り進めていく企業が多く、各事業部からの進捗報告をまとめて経営に報告するだけの存在になりがちです。
ポートフォリオ・マネジメントの考え方で推進する必要があります。
ミッション実現に必要なタスクを、ポートフォリオ・マネジメントで仕分ける
縦割り組織で目標のために集中し効率性を追求するのが事業部制の目的です。
ところが続けていると外部環境の変化からだんだんと乖離が発生し、サイロ化の弊害が目立ってきます。最後は組織を維持するための組織へと変容してしまいます。
そういった組織の硬直化への対応がDXに代表される変革の主目的の1つです。変革のミッションに必要なタスクを洗い出し、各事業部で推進すべきものと全社DXで推進すべきものに仕分けをします。
以下のタスクは、全社DXがマネジメントするべきです。
- 部門横断のテーマに対応する複数事業部の合同タスク
- 複数の事業部に影響を与える重要なテクノロジーに関連
- サポート業務に関連
各事業部のミッションのタスクと全社DX推進組織のミッションのタスクをポートフォリオ・マネジメントしていくことで、すみやかに全社DXの推進が出来るはずです。
【タスクの仕分け】
共同タスクは全社DX組織で推進、その他のタスクは各事業で推進し、全社DX組織へレポート
組織は、経営課題の変化に対応して変えていく
組織は、重要な経営課題の変化に対応して変え続けていく必要があります。
常に最適な組織等存在しませんし、どんな課題にも対応できるONE SIZE FITS ALLな組織も有りません。
身体の硬さは健康への危険信号だそうです。常に自社組織を観察することで硬直化・サイロ化の弊害の兆しを見逃さないようにしてください。
しがらみにとらわれ停滞、守りの発想しかない、小改善の結論ありきといった状況に陥りDXの推進にお悩みなら、是非ビズフォリオまでご相談ください。
参考資料:
Driessnack, J., & Kenney, C. (2023). Portfolio Management Structures: System, Capability, and Mission Portfolios. Acquisition Research Program.
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※記事は執筆者の個人的見解であり、必ずしもビズフォリオの公式見解を示すものではありません。
三木章義
PMP/FP/産業カウンセラー ビズフォリオ合同会社 代表社員
日系Sierでシステムコンサルティングに従事。企業における業務改革やBPR(業務のリエンジニアリング)、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、プログラム/プロジェクトマネジメント等を支援。
2016年にビズフォリオ有限責任事業組合を設立。2021年より合同会社に形態を変更。「マネジメント・サイエンスを活用して価値創造の変革に貢献」を経営理念に、セミナーやコンサルティングサービスを提供している。
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